周防大島浮島のイワシ網漁。
今年も大漁、売り上げも好調といいます。
最盛期を迎えた漁の様子を取材しました。
周防大島町の沖合に浮かぶ浮島。
島の周囲はイワシやタチウオの好漁場となっています。
午前5時。
空と海の間が徐々に明るくなり、1日の始まりを告げています。
イワシ網漁を行う漁船が出航しました。
この漁は4隻で1つの船団を組んで行われ、イワシの群れを探す船、網を仕掛ける網船が2隻、そして、獲れたイワシを運ぶ運搬船に分かれています。
船団の親方は橋本喜代人さん73歳。
48年間、この漁をしています。
近年、イリコ用のカタクチイワシが全国で不漁といいますが、この浮島周辺では例年通りの量を水揚げできていて結果、売上が伸びていると言います。
橋本喜代人さんは、「キロあたり良い場合で1400円。普通だったら300円とか。出汁用イリコがこんなに値がいいのは前代未聞。」と驚きを隠せません。
昨シーズンの売上は例年のおよそ倍となる1億円以上だったということです。
漁獲されたイワシははすぐに加工場へ。
鮮度を保ったまま茹で上げられます。
県東部でのイリコの生産量の約80%を占める浮島のイワシ網漁、5つの船団が従事する島の主力産業です。
浮島の人口は約200人、その半分がこの漁に関わっています。
6月から解禁し、半年間操業が行われるイワシ網漁。
橋本さんの船団には新たな仲間が増えました。
橋本啓太さんは29歳、結婚を機に大阪から移住してきました。
啓太さんは「嫁が元々浮島出身で、やってみようかという感じでこっちに来た。全然別世界の感覚で都会ではありえへん。」と話します。
これまで建築会社に勤めていた橋本さん、県の制度を活用し2年間この船団で学ぶ予定です。
師匠の喜代人さんは、「ええね。ありがたい話。頑張ってもらわないと。習うより慣れろ。」と、エールを送ります。
啓太さんは、「厳しい中にも優しさがあって全然いい人だなぁと思っている。怖いけどね。師匠から教わったことを完璧に覚えて師匠のコピーになれたら・・・。」と意欲を見せていました。