防府市の中浦漁港に「藻礁」と呼ばれる海藻を繁殖させる設備が設置され、8月29日(月)記念式典が開かれました。
素材には、防府市伝統の「鋳物」が使われています。
鋳物を活用した藻礁の設置は防府市では初の取り組みとなります。
藻礁を制作した市内の鋳田籠工法協会によると、鋳物には海藻や植物プランクトンの生育を促す二価鉄イオンの成分が含まれるといいます。
山口県漁協吉佐支店・田辺寿之運営委員長は、「沿岸部の藻場が再生されて稚魚や大きな魚がとれる漁業者が豊かに暮らせるように頑張っていきたい。」と話していました。
防府の沿岸ではいま海藻が著しく減少し育たなくなる「磯焼け」という現象が広がっていて地元の漁業にも影響を及ぼしています。
漁業者によると、沖に出てもガラモという藻が去年は全くなく、海藻がないと根魚が住み着かないのでアブラメ、カレイ類は極端に減っているということです。
磯焼けの原因は、海水温の上昇やウニなどの海藻を食べる生き物の増加があげられますが、漁業者にとっても新たな藻礁が磯焼けを食い止めるきっかけの一つになればと期待を寄せています。
また、県漁協では将来的に、繁殖した海藻が二酸化炭素を吸収しカーボンニュートラルに貢献する可能性も視野に、今後も定期的な潜水調査を続けることにしています。